PRODUCTION NOTES

プロダクションノート

映画と現実が交差し、彩りを放つ写真甲子園。

カメラを初めて手に

映画『写真甲子園 0.5秒の夏』に出演する高校生キャストは、劇中の中川梨花演じる絢香同様、みんな写真初心者。一眼レフのカメラを持ったこともなかった。映画の出演が決まったメンバーは実際の写真甲子園に出場されていたOBの方々の指導の下、映画撮影までの半年間、毎日のようにカメラに向き合うようになる。また彼らは稽古をしてから、撮る写真が変わったという。自分が演じる人間はこんな写真を撮るのではないか、という意識が生まれたようだ。湧き出る感情がレンズを通し、写真となり表現される。役者は体を使って表現をするが、今回は写真を使って更に表現しなければならない。それぞれ、自分の演じる役は何を見つめて、何を切り取りたかったのだろう。何を考えていたのだろう。撮った写真をみんなで講評していくうち、それぞれのキャラクターらしい写真に出会っていった。

東京予選に参加

実際の写真甲子園の熱を感じたい!東京でのブロック別公開審査会を体感すべく、キャストの大阪・東京組は品川のキヤノンタワーに集結した。会場は初戦を通過した現役高校生たちの活気で溢れている。審査員の先生方のお言葉は想像以上に厳しい。予想していなかった質問や感想、核心をついた意見。見透かされたような気持ち、恥ずかしさや困惑さえも感じられる。高校生たちの涙する姿、真剣な表情、リアルな感情を肌で感じたスタッフ・キャストは映画への想いを新たに抱いた。尚、この日は同時にカメラが回り、劇中にも使われている。

街中にいる高校生は本物? 出演者?

映画の撮影は実際の大会、写真甲子園と並行し行われた。写真甲子園のオリエンテーション後、同じ会場で映画用のシーンが撮影され、街中を映画のキャストたちがカメラを手に撮影をしている隣で実際の高校生たちも写真を撮っていた。高校生たちは見たことのない映画撮影に刺激を受け、また映画チームは実際の大会に参加している高校生の熱い眼差しに刺激を受けた。映画と現実が入り組んだ不思議な空間がそこに存在し、写真甲子園マジックにかかっているようだった。

お芝居の中でも審査委員の先生方に何を言われるかは分からない

劇中の講評シーンでは実際の写真甲子園で審査委員長を務める立木義浩先生と審査員の竹田津実先生のコメントがあるのだが、そこに予め用意された台本はなかった。写真もプレゼンテーションもキャストたちが自分たちで考えて発表。先生方はキャストたちが撮った写真を見て思いのままに講評する。厳しいコメントに途方に暮れて立ち尽くすキャストの面々。悔しさのあまり、涙を流す俳優も。そこには真剣勝負の世界があった。本編中の最大の見所でもある。菅原監督が意図した想いを是非スクリーンの中でご覧いただきたい。

クランクアップ

あっという間の3週間の撮影、クランクアップの後の打ち上げは全員参加のジンギスカンBBQ。東川町の方々の主催で、沢山のご馳走を用意し、全員を労ってくださった。そして何よりも素晴らしかったのが、全員が主役になる「一言挨拶」。打ち上げはどうしても監督、キャストの挨拶だけで終わってしまうのが常だが、東川町スタイルは違う。関わったすべての人が一言ずつ挨拶。メインスタッフとその助手の方たち、映画のインターン学生、撮影を支えて下さった町の方々や、地方からの応援者まで、全員の声を大切に分かち合う。「ここにいる誰一人が欠けても映画は成功しません」という言葉はよく耳にするが、このセリフを使わず実感できたのは本当に初めてである。頑張ったひとりずつを大切に出来る町、一人ひとりが頑張れる町。写真で町おこしに成功した裏側には、東川町ならではの「人おこし」があったのである。